事例の概要
非上場会社Aのオーナー経営者Bが亡くなり、その子供Cが株式100%を相続した。当事務所は、Cから相続手続及び相続税申告・納税方法に関する相談を受けた。
相続人Cは、多額の相続税を納税するための資金を確保する必要があったが、金融機関によって提案するスキームが異なるため、納税資金の確保手段を選択するのはとても難しい判断が必要であった。また非上場会社Aは業界で非常に有名な企業であったため、売却を進める際には水面下で進める必要があった。当事務所は、会社の従業員の雇用を守ること、相続人Cに大きな負債が残らないことを中心に、A株式を第三者に売却することにより納税資金を調達することを助言し、相続人Cもこれを了承した。
当事務所が買手候補者を探索し、結果、事業会社に対し、A社を約600億円で売却することに成功した。
A社の概要
規模 | 年商 年商約550億円 |
株主の状況、株主構成
相続人Cが株式を100%保有している。
交渉の経過と解決結果
相続税を納税するためには、個人で借入を実施、会社で借入し個人に貸し付けを実施、会社で借入し株式を個人から買い取る、株式を第三者に一部売却・全部売却等、様々なスキームを検討する必要があった。また提案する利害関係者によって発言の内容が異なり、どのように進めることが最善であるのか判断することはとても困難な作業であった。
当事務所は、金融機関等から提案される全てのスキームについてメリットデメリットを説明し、あらゆる手段を検討した結果、A株式を売却することにより、納税資金を確保する方法を相続人に助言し、相続人Cから了承を得た。
A社の買手候補者を探索したところ、著名なファンド及び事業会社が興味を示し、売買交渉を行うことになった。相続税の申告期限を考えると、価格の算定期間、交渉期間はとても短く、ハードな交渉であったが、無事相続税申告期限内に売却を実行することに成功した。
担当者のひと言
本件は、A社が業界で有名な会社であったため、水面下で秘密裏に売却を進める必要がありました。数名を除く社員や、金融機関等には売却交渉中であることを伝えることができないため、デューデリジェンスの対応はとても難しかったです。ただし、秘密裏に進めることができたことが、本ディールがスムーズに相続税申告期限内で解決できた大きな要因であったと思います。様々な障害が存在する中で、クライアント様が会社継続のこと、従業員の雇用のことを一番に考えて進めていくことで、10カ月という短い期間の中でなんとかディールをまとめることができたと考えております。